【新卒PT向け】仙腸関節痛の治療で知っておくべき2つのこと

臨床

はじめに

こんにちは^ ^    

今回は、

・仙腸関節痛に対して何をしたら良いか分からない
・患部のマッサージだけになってしまう
・腰や股関節の病名なのに仙腸関節周囲に痛みを訴えていて困っている

と悩んでいるあなたに向けて

仙腸関節痛に対して土台となる考え方、実施すべき評価、結果の解釈などを“分かりやすく”解説していきます。

今回はこちらの書籍を参考に記事を作成しました。
多数の理学療法士の方がオススメされている、非常に分かりやすい一冊です^^

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仙腸関節を安定させる【 force closure 】と【form closure 】について

【 force closure 】と【form closure 】とは?

form closure とは

⇨骨・関節・靭帯など、関節の構造、

位置、形により安定性を提供すること

force closure とは

⇨仙腸関節をまたぐ筋群、または周囲の筋膜などの安静時張力および共同収縮により、安定性を提供すること

仙腸関節の安定化を図っている要因が、関節構造によるものか、
または周囲の組織によるものか、大きく2つに分けられます。

非特異的骨盤帯痛では

過剰 (excessive)または、不十分 (reduced)な 

force closureのシステムにより

仙腸関節周囲組織に過剰に負担がかかることで

痛みを起こすといわれている 。


仙腸関節が
過剰に“締まる”ことで痛みを引き起こしているのか、または      
過剰に“緩む”ことで痛みを引き起こしているのか。
2通りに分類することができますね。

次項ではこの2つの違いについて詳しく解説します^^

【reduced force closure】の特徴 

⇨ force closureが不十分

⇨骨盤への安定性の供給ができていない

⇨代償的に体幹周囲の筋群は過活動傾向

⇨ASLRテスト陽性

⇨骨盤への圧迫により症状の軽減が見られる

・骨盤底筋群、多裂筋、殿筋群の活動不良

・脊柱起立筋、腰方形筋、横隔膜、腹直筋、腹横筋の過活動

姿勢・動作の代表例

・スウェイバック姿勢

・活動的な伸展パターン(立ち上がり、物を拾う動作)

・胸椎伸展位の座位

⇨腰背部筋の過活動による腰部骨盤帯や股関節のコントロール不良

【excessive force closure 】の特徴

⇨force closureが過剰

⇨仙腸関節周囲の軟部組織が過剰に圧迫している

⇨ASLRテスト陰性

⇨骨盤への圧迫にて症状再現

⇨骨盤、股関節周囲筋の過活動

⇨リラクゼーション、ストレッチ、徒手療法で症状が改善する

姿勢・動作の代表例

・立位⇨殿筋群の過活動により、股関節外旋位。常に緊張状態↑

・座位⇨殿筋群の過活動により、骨盤後傾、胸腰椎屈曲位。

・前屈⇨骨盤後傾、腰椎が過剰に動き屈曲する。

どのように鑑別するか?

◎ASLRテスト

⇨ASLR機能異常は骨盤周囲組織の疼痛との関連性があり、診断に有用とされている。

また、体幹および下肢の力学的伝達能力を評価する上で便利な検査である。

【reduced force closure】⇨陽性を示し、圧迫によりスコアの改善がみられる。

・筋群の機能不全のある状態で、圧迫することで仙腸関節に安定性が供給され、負担が減少するため。

【excessive force closure】⇨陰性を示し、圧迫によりスコアは悪化する。

・筋群によって既に安定性を供給しているため、圧迫することで筋群の過活動が起こり負荷が増大する。

まとめ

仙腸関節痛について基本となる考え方について解説しました。

仙腸関節痛を一括りにして考え治療するのでは無く、今回紹介した内容を頭に入れておくことで、問題点を絞って効率よく臨床推論を立てることが出来ると思います。

今回の内容を参考にしていただけると幸いです^^

参考引用文献

•赤坂清和,竹林庸雄監修,三木貴弘編集,非特異的腰痛のリハビリテーション,羊土社,2018

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