【運動器エコー】長母趾屈筋(FHL)の機能解剖①距骨との関係性について“分かりやすく”解説

臨床

はじめに


  こんにちは。  

今回はエコーを活用して長母趾屈筋の観察を行います。

長母趾屈筋(FHL)の機能解剖

まずはエコーで見る前に、長母趾屈筋の機能解剖を復習しましょう。

長母趾屈筋(FHL)
…(Flexor hallucis longus)
【起始】腓骨後面の下部2/3
    下腿骨間膜の腓骨側

【停止】母趾末節骨底

【神経】脛骨神経L5-S2

長母趾屈筋(FHL)は距骨の後方を走行する“唯一”の筋です。足関節背屈時、距骨の後方移動により長母趾屈筋は距骨による圧排を受けます。

エコー画像で確認します。

長母趾屈筋(FHL)のエコー画像

赤太線がプローブの位置です。足部後方からプローブを当てて、FHLと距骨が見えるように描出します。

◎描出のポイント
アキレス腱のやや内側(画像では見やすいように外側)でプローブを走査し、①FHLを長軸で描出→②FHL長軸像のfibrillar patternを崩さないように距骨を探す。

このようなエコー画像になります。↓

分かりやすく補足↓

ちょうど黄色の枠線内をエコーで描出しています。↓

足関節を背屈させてみる

長母趾屈筋(FHL)を描出することができたら、プローブを当てたまま足関節を背屈させてみましょう。

このようなエコー像になります。↓

分かりやすく補足↓

FHLが距骨による圧排刺激を受けているのが分かります。

長母趾屈筋(FHL)のエコー動画

一連の流れを、動画で確認します。↓

動画で見ると、FHLと距骨の動態が分かりやすく、理解が深まりますね。

つまり、長母趾屈筋の柔軟性が低下すると…

ここまで、長母趾屈筋と距骨の関係について理解していただけたと思います。距骨の後方移動により、長母趾屈筋は圧排刺激を受けるため、

長母趾屈筋の柔軟性低下や滑走不全、癒着が起こると距骨の後方移動が抑制され、その結果として足関節背屈の可動域制限に繋がります。

足関節の背屈がなかなか出ないからといって、むやみに下腿三頭筋のストレッチをしても良くならないケースがあります。今回の内容を頭に入れておくことで評価・治療の幅が増えると思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は長母趾屈筋(FHL)と距骨の関係について解説しました。日々の臨床に役立てていただければ幸いです。また、以下の文献で 今回の内容がより詳しく考察されていました。


 気になる方はぜひ
 読んでみて下さい。 

文献紹介

児玉亮 他:足関節背屈における長母趾屈筋と距骨の関係に関する考察.総合リハ 37(5):461-465, 2009)

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